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08 — 食

神在餅(じんざいもち)が、
ぜんざいになった。

神々が集う土地には、それにふさわしい食の言い伝えがあります。全国区の甘味「ぜんざい」の 名前の発祥は、実は出雲にあるとされていること。玄そばを甘皮ごと挽く、色濃く香り高い出雲そば。 そして、宍道湖の汽水がもたらす恵み。信仰と暮らしが結びついた出雲の食文化をたどります。

紅白の白玉が入った、漆器に盛られたぜんざい
神在餅にちなむ、出雲のぜんざい

甘味の起源

「ぜんざい」の名は、出雲の神在祭から生まれた。

小豆をやわらかく煮て砂糖で甘く仕立てた「ぜんざい」。全国どこでも親しまれるこの甘味の名前の 由来をたどると、出雲の神在祭にたどり着く、という言い伝えがあります。神在祭の際にお供えされ、 振る舞われた小豆料理は「神在餅(じんざいもち)」と呼ばれていました。この「じんざい」という 発音が、出雲弁のなまりを経て「ずんざい」、さらに変化して「ぜんざい」になった、というのが よく語られる由来です。

この「じんざい」がやがて京都に伝わり、寺院で振る舞われる際に「ぜんざい」という名で広まった、 とも伝えられています。出雲市では、こうした由来を踏まえて「日本ぜんざい学会」が発足し、 出雲市大社町を「ぜんざい発祥の地」として広くPRする活動が続けられています。

語源説の一つとして: 「ぜんざい」の語源には、この神在餅説のほかにも、 仏教用語「善哉(ぜんざい)」に由来するという説など、複数の説が伝わっています。出雲での 神在餅説は、出雲市自身が積極的に発信している、地域に根ざした由来譚として紹介しています。

出雲を代表する麺

出雲そば――甘皮ごと挽く、濃い色と香り。

出雲そばは、島根県出雲地方に伝わる郷土そばです。もっとも大きな特徴は、そばの実の甘皮(殻の すぐ内側の層)ごと石臼で挽く製法にあります。このため、一般的なそばよりも色が濃く、香りが強く、 栄養価も高いとされています。

食べ方も独特です。丸い漆器の器を数段重ねた「割子(わりご)」にそばを盛り、そこへ直接つゆを かけて食べる「割子そば」が、出雲そばの代表的なスタイルとして知られています。出雲大社の 門前町・大社町をはじめ、出雲市内には数多くのそば店が軒を連ね、初詣や神在月の参拝とあわせて 味わう人も少なくありません。

温かいそばの食べ方も: 割子そばのほか、温かいつゆをそばの入った器にそのまま 注いで食べる「釜揚げそば」も、出雲地方でよく親しまれている食べ方です。
薬味と卵をのせた三段の割子そば
薬味をたっぷりのせた割子そば

汽水湖の恵み

宍道湖のしじみと、七珍の魚たち。

出雲市の東に広がる宍道湖(しんじこ)は、海水と淡水が入り混じる汽水湖です。この独特の環境が、 全国的にも高い漁獲量を誇るヤマトシジミをはじめとする、豊かな漁業資源を育んでいます。宍道湖の しじみ漁は江戸時代から続く伝統的な漁で、今も出雲・松江の食卓に欠かせない食材となっています。

宍道湖では、しじみのほかにも、スズキ、モロゲエビ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、コイ、ウナギ、 スモリガニをあわせた「宍道湖七珍(しんじこしちちん)」と呼ばれる、代表的な魚介が伝えられて います。神々が集うとされる出雲の食卓には、こうした水と大地の恵みが今も色濃く息づいています。

竹ざるに盛られた、宍道湖産のヤマトシジミ
宍道湖のヤマトシジミ

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これほどの信仰の土地には、噂も集まる。

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